2021年度4号「まちから始まる新チャレンジ」インタビュー

2021年度4号「まちから始まる新チャレンジ」インタビュー

2022年2月20日

三鷹まちづくり通信2021年度4号(2022年2月20日発行)

10代で学生起業!情熱を持って三鷹で活躍し、羽ばたく若手起業家を紹介

 今回は、2020年に開催された株式会社まちづくり三鷹主催の「第17回みたかビジネスプランコンテスト」で受賞された、2組の若手起業家を紹介します。まず、高校在学中に起業された株式会社Sunshine Delight の伊藤さんは「幼少期からの日焼け止め定着」をテーマに、製品づくりと教育に取り組んでいます。次に中学生の時に起業された株式会社バビロニアの野田卓也さんは、お父さんの拓也さんとタッグを組み「小中学生向けのお金の教育」を中心に事業を展開しています。
 二組の若い起業家に起業されたきっかけや事業への想いを伺いました。

実家が農家であることで感じた課題を解決したくて学生起業の道へ

■インタビュー 株式会社Sunshine Delight 代表取締役社長 伊藤瑛加さん

 三鷹市出身の伊藤瑛加さんは2022年1月現在、中央大学法学部に通う大学生で、同時に会社代表の顔も持つ学生起業家です。高校3年生17歳のときに株式会社Sunshine Delightを設立しました。きっかけは高校の授業でアントレプレナーシップ(起業家精神)入門を選択したことから。授業の一環で日本政策金融公庫主催の「高校生ビジネスプラン・グランプリ」に応募し、ベスト100、さらに東京都のベスト15に選出され、その経験から伊藤さんは起業に興味を持ちます。

 着目した課題は伊藤さんの家が農家だったため気付いたことでした。子どもの頃から、太陽の光や地面からの照り返しのなかで畑仕事をするお母さんの肌を見て「ケアが大変そう」と感じていました。そこからシミ、シワ、皮膚がんなどの紫外線による肌のトラブルや病気から多くの人を守る手助けをしたいと思うようになります。

 ご両親の紹介と後押しもあって、2019年に紫外線対策に関するビジネスプランをJA(農業協同組合)アクセラレータープログラムに応募。特別賞に選出されたことを受け、会社を設立します。その後、株式会社コーセーが主催する共創事業のInnovation Program 2019にも採択され、環境にも人にも優しく、これまでにない大容量の日焼け止めパックの開発を共同で行いました。加えて、日焼け止めの習慣化の教育教材として絵本を製作し、日焼け止めとのセット販売を開始。子どもたちが自ら日焼け止めを塗りたくなるような歌「ぬりぬりのうた」とその動画も制作しました。

伊藤瑛加さん
株式会社Sunshine Delight 代表取締役社長 伊藤瑛加さん
Sunshine Delight ひやけどめ
敏感肌だけでなく環境やSDGsにも配慮した大容量紙パックの日焼け止め。お取り寄せ通販サイト「JAタウン」で販売

日焼け止め習慣化を大好きな三鷹市から広げたい

 「一部の海外の国では保育施設(幼稚園、保育園)での日焼け止め製品の常備は当たり前ですが、日本ではそこまで一般化していません。人は18歳までに生涯に受ける紫外線(UV)量の半分以上を浴びると言われていて、もっと多くの人に対策の必要性を知ってもらうことが重要だと考えます。」と伊藤さんは話します。

 今後のビジョンについて「生まれ育った三鷹市の保育施設などから、日焼け止め対策を広げていきたいです。個人販売の問合せも多く寄せられ、ニーズはあるという手応えを感じています。」と語ってくれました。児童が日焼け止めを塗っている姿を見ると嬉しくなるそうで、「歯磨きやうがい、手洗いと同様に、幼少期からの日焼け止めの習慣化が目標です。"太陽の下で安心して暮らせる環境を"と言う理念を掲げ、太陽は敵ではなく、子どもたちに楽しく外遊びをしてもらいたいと思っています。」と笑顔で話されました。そうした強い願い、情熱を当初から貫き、着実かつ堅実に進んできたからこその事業への揺るぎない自信が感じられます。

 三鷹の印象をお聞きしたところ「"感謝"です。三鷹は地域にも温かい人が多く、皆さん親身になってくれます。2020年にみたかビジネスプランコンテストでビジネス部門の優秀賞をいただきました。特典でサテライトオフィスが利用できたのも、とてもありがたかったです。」と答えが返ってきました。会社は家族や高校、大学の友人、ご近所や地域の人からの支えがあって、地域の回覧板で取り組みを取り上げられたこともあるそうです。

 ビジネスと学業の両立は「リモート授業など、コロナ禍をプラスに変えて両立しています。大変なこともあるけど、やりたいことをやっているので楽しい。」と思うそうです。「起業して楽しいと思うことは、子どもたちが日焼け止めを塗るようになったことです。自分たちのサービスで子どもの可能性を引き出したと思えることが、事業を進めていく中で達成感を感じます。」と話す伊藤さん。ほかにも起業したことにより、日常生活の中から課題を吸収する意欲が身に付いたそうです。「勉強として学ぶだけでは暗記になってしまいます。起業したことにより、学びや日常生活の中でビジネスに繋がるヒントがないか考える意識に変りました。」インタビューをとおして伊藤さんの行動力、実践力、そして熱心さが伝わってきました。

絵本「たいようちゃんとゆうちゃん」
日焼け止め習慣化の子ども向け教育教材として絵本「たいようちゃんとゆうちゃん」を企画制作

■ 株式会社Sunshine Delight
WEBサイト等:https://www.sunshinedelight.net/

親子の対話から生まれた「お金を学ぶことで生き方を学ぶ」塾

■インタビュー 株式会社バビロニア 取締役社長 野田卓也さん、代表取締役 野田拓也さん

 野田卓也さんは、2022年1月現在15歳の中学3年生で、高校受験を間近に控える中での取材でした。13歳で父親である拓也さんとともに起業し、株式会社バビロニアを立ち上げました。15歳未満では印鑑証明書が取得できないため代表取締役は父、拓也さんが務め、取締役社長として就任し中学生社長となりました。

 起業のきっかけは、コロナ禍での突然の中学校の休校や、仕事のリモート化で、親子で話す機会が一気に増え、卓也さんの「お金持ちになりたい」という会話の中の一言から。卓也さんの頭の中にあった世の中やその仕組み、お金などへの疑問に父、拓也さんが答えていくうちに、好奇心旺盛な卓也さんは「こんなお金の話は知らなかった。学校ではいつになったら教えてくれるんだろう?もっと同世代の子どもたちに広めたい」と言う想いを持ちます。そんな親子の会話の中からアイデアが生まれ「だったら起業してみる?」となったそう。お父さんが金融サービスの会社に勤める専門家で、会社で副業が解禁となったこともきっかけのひとつです。

 株式会社バビロニアは「未来を担う子どもたちに自らの意志と知恵でお金と心の豊かさを」という理念を掲げ、主に小中学生を対象としたお金のことを学ぶ教室「StarBurst(スターバースト)」などの事業を展開しています。ビデオ会議ツールZoomを使って、希望者がPC、タブレット、スマートフォンなどで、お金に関する基礎セミナーとディスカッションを行う全12回の教室です。参加した小中学生からは「学校で教えてもらえないけど、知ることができてよかった」「人前で話すことが苦手だったが、自分で考え、意見、発信する力が身に付いた」と好評で、学校の科目だけでは扱わないような社会やお金、投資についての補完的な知識を取り扱っているのが特徴です。

野田卓也さん
株式会社バビロニア 取締役社長 野田卓也さん
野田拓也さん
株式会社バビロニア 代表取締役 野田拓也さん

二人三脚でビジネスを創出する「親子副業」という新しい提案

 野田さん親子は、お父さんは会社員のかたわら副業を行い、息子さんは学業のかたわら副業を行うという「親子副業(R)」という新たな方法論を提唱、実践しています。その形がまさに株式会社バビロニアでもあるわけです。「人生100年時代と言われ社会構造も変化しています。これからは親側も意識改革が必要で、子どもたちに支えられなくてよい経済的自立が必要だと考えています。」と父の拓也さんは話します。

 会社を始める際、拓也さんは息子の卓也さんに「会社はお金を稼ぐためのものではなく、社会貢献のためのもの」とも伝えたそうです。
 起業するまでは、学校でそれほど積極的な方ではなかったと話す卓也さん。しかし、起業しビジネスを始めてからは学級委員を務め、生徒会長にも立候補するなど、さまざまなことに意欲的にチャレンジするようになり、自分でも「変わった」と感じるそうです。
 中でも、みたかビジネスプランコンテストに挑んだときが一番大変だったと語られました。当時、卓也さんは学業と生徒会長への立候補準備、学級委員の仕事、部活動、更にコンテストの準備で多忙で、コンテスト直前で「辞めたい」と父拓也さんに相談したそうです。「気づいてあげられなかったことを親として申し訳ないと思いました。でも「社長」と言う仕事は大変だから辞めたい、と言って辞められるものではない。社長の責任は重いんだよ、という話をしました。」みたかビジネスプランコンテストをとおして、親子で成長できた、と父拓也さんは話します。

 今後の展開やビジョンについて卓也さんは「学業との両立でつらいときもありましたが、StarBurstで教えている給与所得、事業所得、配当所得といった複数の武器を持って生きる"三刀流"の考え方と"好きなことを仕事にしていくこと"をもっと広めていきたい。自分がモデルケースになって、多くの子どもたちに少しずつお金のことを勉強してもらい、将来、ゆとりある人生を送って欲しいですね。」と淡々としながらも熱く語ってくれました。

 2022年からは「親子で参加出来る副業アイデアコンテスト」の開催を目指し、資金をクラウドファンディングで募る新たな取り組みも開始しました。「いきなり"起業"はハードルが高いです。でも、我々親子がみたかビジネスプランコンテストで成長できたように、まずはアイデアコンテストをとおして親子で楽しく夢を追いかけて欲しいですね。」と父の拓也さんは話します。
 親子二人三脚でビジネスを始める形に新しい可能性と、今後の展開に大きな期待が持てるインタビューでした。

クラウドファンディング「親子で副業アイデアコンテスト」
お二人はクラウドファンディングCAMPFIREで「親子で副業アイデアコンテスト」の開催を目指しています。

■ 株式会社バビロニア
WEBサイト等:https://www.babylonia-inc.com/

ライター:石井将直

三鷹市内のいろいろな活動や物事をウォッチしたいライター石井将直が、私たちの暮らしを豊かにするために、三鷹市内で新たなことにチャレンジしている様々な取り組みや人を紹介します。

ライター:石井将直